訪問介護職に必要なスキル

訪問介護は利用者様と1対1で関わる仕事です。
そのため、周囲からのチェックを受けづらく、相談しにくいという特徴があります。

そのような訪問介護をうまく行っていくために必要なスキルをお伝えします。

介助のスキル

・身体介助力
介助における自身の体の使い方や、利用者の身体の動かし方を把握することが必要です。
そして、お互いの身体のあり方をどのように活用して、安全で心地よい介助へとつなげるかが求められます。

また、学んだ知識を活かすために実践していくことが大事ですが、そのためには体を柔軟に動かせることも大事です。

・コミュニケーション力
身体接触を伴う介護をよりよくするためには、利用者との信頼関係が重要になります。

利用者の事を深く理解し、適切な声かけやサポートにより、少しずつ信頼を得る事で、ようやくお互いに話が出来たり心に寄り添う事が出来るのです。
困っている事や本当の辛さは、信頼関係なくしては打ち明けにくいものです。

利用者のことを尊重し、かつ丁寧で親近感を兼ね備えることで、相談しても大丈夫という安心感を持ってもらえるコミュニケーションスキルが必要なのです。
そのスキルを向上させるには、自分だけの価値観にとらわれず、自分以外の様々な人の考え方や気持ちを理解して、受け入れていくことが大切です。

また、利用者にとってみると、1週間に数回来る訪問介護職員が唯一の話し相手の場合もあり、楽しみにされていることがあります。
そのような事情もくみ取っていくことが大事です。

・判断力
訪問介護は現場で起きる物事に対して基本的に一人で対応しなければなりません。
トラブルがあった際に適切な行動がとれる判断力が必要になります。
また、限られた時間内に確実に訪問を行ったり、指定時間内に求められている介護を行う必要があるので、時間に対しての正確さも求められます。

・家族への対応
訪問介護では利用者様のご家族に話しかけられたり、できないサービスの要望を受けることが現場ではよく起きます。
本来は利用者様の援助だけを行えばいいのですが、そうすっきりはいかないのが訪問介護です。
家族へも無難に対応しながら、利用者様へのケアを行うコミュニケーション力や臨機応変な対応力が求められます。

学習のスキル

・研鑽力
訪問介護は基本一人で介護を行うため、他人のやり方を学ぶ機会が少なく、自己流になりがちです。
常に自身のあり方や介護の仕方を意識して振り返って改善したり、勉強したりしなければ向上は図れません。
また、誰も見ていないからと自身に甘くなるようだと訪問介護には不向きです。

・効率力
介護福祉士の資格は、介護士として働きながら受験勉強を行うことになります。
介護職は、夜勤などもあるハードな仕事をこなしながら勉強をすることになりますので、効率的に勉強できるスキルを身に付ける必要があります。

全ての範囲をまんべんなく勉強するよりも、限られた時間で的を絞った学習をしましょう。

接遇のスキル

訪問介護は利用者のプライベートに入りこんで行いますから、丁寧でかつ誠実な対応が求められます。
訪問介護職で多い苦情は、「口の利き方がなっていない」「笑顔が少ない」といった類のものも多いです。

参考
https://www.tokyo-kokuhoren.or.jp/nursing_office/statistical_material/white_paper/list_heisei27/pdf/guid_bunrui_kujou_joukyou.pdf

こうしてみると、訪問介護のスタッフは接客業のように対応することが求められている部分もあるように思います。
そのため、「介護だけしてればOK」というわけにはいかず、接客業としてのマナーも身に着けておく方がよいでしょう。

当然ながら、挨拶などをしっかりすることは介護職以前のマナーですが、きっちりしましょう。

自立支援のスキル

訪問介護において、利用者のやる気や潜在的な力を引き出すことも重要な技術です。

利用者が介護され続けることにより、自ら立ち上がる力を無くしてしまっては本人の為にはなりません。
日常生活の中で、どのように接したり関わればモチベーションが上がるのか、意識して接する事が非常に重要です。
潜在能力を引き出すことは、利用者の生活をより良くしていくことです。

出来ない事をサポートすることは、ただのお世話です。

本人のやる気や潜在能力を引き出し、生活を向上させる事こそ、介護の本領であり腕の見せ所です。

訪問介護のスキルアップをするために

上記のようなスキルが訪問介護に求められるのですが、最後に必要なスキルとしては、欠くスキルや介護場面に関して解決すべき問題を常に改善していく事です。
問題をどうしたら軽減したり、改善出来たりするのかを明確にして、実行していく事が重要となります。

介護職員がこのことを意識せずに、単に業務をこなしているだけではスキルアップは見込めません。

介護職員としてのプロ意識はもちろん、さらには訪問介護職としては利用者に一番近い存在として、その方のアドボカシーを行いやすい立場にあります。

そのことも意識して関わっていくと、より訪問介護の醍醐味を感じながらよりよい介護援助ができるようになっていくことでしょう。

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