訪問介護における料理事情

訪問介護の業務である生活援助では、各家庭や利用者に応じて臨機応変にサービス提供しなければなりません。

生活援助の中でも、料理は各家庭での特徴が大きく表れやすく、うまく対応できるか悩む訪問介護職が多いです。

また、これから訪問介護職を考えておられる方の中には「そもそも料理自体が不得意だけど大丈夫だろうか」という心配をする方もおられるでしょう。

今回は、これから訪問介護職を目指す方向けに、訪問介護の料理問題の実際のところをお伝えします。

訪問介護職は料理できなければならない?

生活援助の専門家であり、サービス内容に料理が含まれている場合、それを提供できなければ訪問介護職として失格ですから、建前上は料理ができないと困ります。

しかし、多くの訪問介護職が不安を抱いているのも事実です。

料理はどうしても自信がない、という人は訪問介護職になることはできないのでしょうか?

専門的なことを述べると、利用者が摂取する栄養のバランスを考え、利用者の身体状況に応じて食べ物の大きさや固さを調節しなければなりません。また、利用者の好みに合わせて味付けを変えていくことも求められます。しかも、それらのことを決められた時間内にやらなくてはいけません。

これだけを聞くと、できるだろうかと不安になってしまいそうですが、あくまでも理想論です。現実的には、『完璧にできないこと』に対して苦情をおっしゃる利用者はほとんどおられません。

利用者のこだわりを知る

生活援助のプロとして料理に関する専門的な行為を完璧にできないことに対して苦情をおっしゃる方は少なくても、やはり好き・嫌いやこだわりを無視されたり、嗜好とは違う料理を作られたら苦情をおっしゃる方は多いものです。
苦情例としては、

・産地は国産の物にこだわっているのに、費用を安くするためといって外国産の食材を使った
・カレー、シチュー、肉じゃがといった食材が同じ料理のローテーション
・冷奴を、手を加えずまるまる一丁出した
・出来合いの総菜をそのまま出した
・油ものばかり出した

といったことがあります。

大切なことは、利用者は料理においてなにを重視しているかを知ることです。
レシピ通りにきっちり作ること、食材の産地など、利用者のことを知っていく姿勢があればきっと料理に関しても分かってくるはずです。

そのポイントを外さないようにするのが訪問介護職としての専門性であると考えて下さい。

新人の勘違いに多いのが、高齢者だから「柔らかい方が好き」というものです。
誤嚥の危険性や咀嚼ができないといった安全面での配慮が必要な場合はありますが、原則は利用者の意思を尊重するところにあります。

高齢だからといって柔らかいものが好きとは限りません。
ステーキ肉をたくさん召し上がりたいという方もおられます。

利用者の意向をきちんと把握しましょう。

訪問介護職によっては、料理が全然できなくて、利用者から教えてもらいながら作る介護職もいます。しかし、その介護職は利用者から嫌われているわけではなく、むしろ気に入られているのです。

利用者によっては、人に教えることで活力が湧いたり、役に立っている実感を得たりする場合もあるのです。

料理に関して正直に向き合う

料理がどうしてもイヤな場合でも、料理以外に訪問介護の仕事はいっぱいあります。生活援助ではなく、身体介護をメインにするという手段もあります。事業所に正直に申告していれば、対応してもらえるはずです。

また、事業所によっては料理ができないという新人向けに、ベテランスタッフが簡単料理教室を行っているところもあります。
ご自身で開催されてもいいでしょう。

たとえ料理ができなくても、できないことを正直に述べ、学びたいという意志があることをアピールすれば、問題はないことが多いです。

覚えておくと役立つことが多い料理

高齢者といっても好みは千差万別なのですが、手早くつくれたら喜ばれる物もあります。
それは、和食料理の「おひたし」「みそ汁」です。

おひたしとみそ汁を一から作れると、だしの取り方や醤油の味付けのさじ加減などが身につき、他への応用も利かせやすくなります。

和食の基本料理に当たるので、ご高齢の方からすると、「基本がしっかりできている介護職」と見られやすいです。

もちろん、介護職自身が家でする料理のスキルアップにもつながりますから、おひたし・みそ汁以外にも積極的に料理を覚えていってください。

まとめ

料理は、利用者の意欲を活かし、老化に立ち向かう力を後押しすることにつながります。

利用者には足腰が不自由でもヘルパーが来るまでに材料の解凍をしてくれる方、腰痛餅の方でもイスに腰かけてならジャガイモの皮むきをされる方、ベッドに寝ていても味付け確認をして調整の指示をされる方など、様々なつらい状況下であっても自分でできることはしようと頑張っている方が多いです。

料理のすべてを訪問介護職が代行するのではなく、あくまで生活の主体は利用者ご本人であることを忘れず、ご本人の味を大切にしていくことが大事なのです。