垣本です。
前回は介護保険の基本的な仕組や考え方に触れましたが、今日はその介護保険の仕組の中で、非常に重要な役割を担っている保険者について説明します。
保険者って「者(モノ)」って書いてあるから一人の人?って印象がありますが、この「者」とは「団体」のことで、「保険を運営する責任のある団体」と考えてもらうと分かりやすいです。
介護保険制度の保険者は、市町村です。また東京の場合は特別区も保険者です。
私は千葉市で介護事業を行っているので、保険者は千葉市ということになります。
たとえば東京都板橋区の保険者は板橋区であります。
運営する責任のある団体は市町村(特別区)ですが、介護保険の法的な仕組みや運営の基本的な方法は全て国が決めています。
つまり、国が決めたことを実施するのが市町村(特別区)といえます。
「国が決めたことを国自身が実施した方が効率が良いのでは?」と思われるかもしれませんが、介護というのは地域に密着した分野であるので、それぞれの日本の地域ごとに人口も生活文化も考え方も若干違ってきます。そうなると、それぞれの地域ごとで問題も違ってきます。
だからこそ、国で一括で運営するより、市町村(特別区)で運営した方が効率が良いということで、保険者は市町村(特別区)となっているのです。
保険者の運営の仕事は下記になります。
・被保険者の資格管理(介護保険証の期限や要介護度の管理)
・被保険者の台帳の作成(被保険者がどの位いるか?どの人が被保険者か?を把握しています)
・被保険者証の発行(要介護認定を行って、介護保険者証の発行を行います)
・要介護認定(介護認定審査会を設置して、要介護認定を行います)
・保険給付(介護報酬や介護保険給付を行います。国民健康保険連合会に委託しています)
・サービス事業者に関する事務(地域密着型サービス事業者の指定・指導監督)
・地域支援事業に関する事務(地域包括支援センターの設置、地域支援事業の実施)
・市町村介護保険事業計画に関する事務(3年ごとに市町村で独自に計画を立てる)
・保険料に関する事務(第1号保険料の料率の決定、徴収)
・介護保険制度の運営に必要な条例や規則の制定や改正(市町村ごとに独自のルールを設定)
・介護保険の財政運営(介護保険制度のお金のやりくりを管理)
・地域包括ケアシステムの推進(地域包括ケアシステムを実現する)
などの役割があります。
やはり、最も大事なのは介護保険の財源に責任をもつことです。
ですから、財源を破たんさせるのも充実させるのも市町村の役割です。
非常に重要な役割を担っていますね。
その財源の範囲内で市町村は国の目指す「地域包括ケアシステム」を実現するのです。
「地域包括ケアシステム」についてはまたの機会に説明しますね。