入浴介助の手順や注意点

訪問介護でよく行う介助のひとつに入浴介助があります。

体を清潔に保つことは、人としての尊厳維持にもつながります。
もちろん体の清潔が保たれないと、病気や感染症などを発症する原因にもなります。

しかし、他人の体や頭を洗うことは意外と難しいことです。
また浴室は滑りやすく、転倒や溺れてしまうなどの危険があり、他の介助よりも注意を払う必要があります。

そこで、入浴介助の手順や注意点をまとめましたので、参考にしてください。

準備物

まずは、入浴介助するにあたって準備しておくものがあります。

・タオル(大きくて吸水性の高いもののほうがベター)
・着替え、新しいオムツや尿取りパッドなど
・ボディソープまたは石鹸
・ボディタオルや洗体用スポンジ
・シャワーチェアや転倒防止マット
・保湿剤や処方されているぬり薬など

準備は必ず入浴が始まる前にしておきましょう。途中で不足物を取りに行っていると、利用者を裸のまま待たせてしまいます。
入浴介助では、利用者を一人にさせないことが原則であり、不安や不快な思いにさせないようにしましょう。

介助者の服装

・エプロン(水を弾く素材)
・ゴム製の靴
・手袋

介助者自身が濡れてしまう可能性があること、浴室の床は滑りやすいことを考慮した服装にしましょう。

入浴介助の心がけ

1.体の状態を観察する
入浴時は全身を観察する機会となります。入浴介助をしながら、皮膚の状態(乾燥、傷)をチェックしてください。普段座っている時間が多いと、臀部に褥瘡ができることもあります。また、病気や怪我によって、皮膚が腫れたり赤くなったりしていることもあります。これらの異常がないかを確認しましょう。

2.安全確認する
利用者宅の浴室での入浴介助は、設備や広さなどが不十分な環境になり、その分安全には十分に配慮しなければなりません。
シャワーチェアや転倒防止のマットなど設置できるものを最大限利用します。可能であれ二人体制での介助がよいです。

3.利用者の体調が悪いときは無理をしない
利用者の体調が悪いときに無理に入浴をする必要はありません。入浴は体への負荷も大きいことですので、無理すると、体調を悪化させてしまうかもしれません。体調が不調なときは、温かいタオルで清拭をしたり、桶にお湯をはり足浴をおこなうとよいでしょう。

4.できるところは利用者自身にやってもらう
入浴介助でも、本人ができるところは利用者自身にしてもらいましょう。特に、羞恥心を伴う局部については、できる限り自分で洗ってもらうほうが良いでしょう。本人にできることをやってもらうことは、ADL(日常生活動作)の維持と尊厳維持につながります。

入浴介助の流れと注意点(介助行為の前に声かけは必須)

①空腹時や食事直後の入浴は避けること
②入浴介助を始める前に、浴槽にお湯を張り、浴室と脱衣所を温めます。
浴室暖房があれば、利用させてもらいましょう。冬場はヒートショックが起きやすくなるので十分に注意してください。
➂足元に注意しながら、椅子に腰をかけてもらいます。手すりがあれば、手すりにつかまってもらいましょう。
④足元からゆっくりお湯をかけます。温度を利用者に確認しましょう。
⑤洗う順番に希望があるか確認しましょう。希望があればその順で、なければ頭から洗っていきます。頭を洗うときには、指の腹でやさしくこすります。
⑥すすぎをしっかりおこない、シャンプー流し残しがないようにします。
⑦体をボディタオルやスポンジで洗います。高齢の方は皮膚が弱いことが多く、力強くこすると傷つくの優しく洗いましょう。脇、乳房の下、肘や膝の内側など汗をかきやすい場所は、洗い残しがないようにしましょう。
⑧お湯に浸かります。心臓に遠い部分からゆっくりとお湯に浸かるように注意してください。お湯に浸かる時間は5分程度が目安です。本人の希望とのぼせ具合とを見ながら調整しましょう。
⑨浴室から出るときもゆっくりと出ましょう。

入浴後の注意点

①体や頭の水分を拭き取ります。転倒の原因となる足の裏は十分にふき取りましょう。床面も濡れていれば雑巾でふき取るようにしましょう。
②着替えを行いますが、入浴後は体温や血圧の変動やふらつくこともありますので、イスに座ってもらい更衣介助を行いましょう。
③水分補給をしてもらいましょう。
④皮膚科で処方されている軟膏などがあれば、入浴後のタイミングで塗るとよいです。
⑤入浴前と同様に体に異常がないかチェックしましょう。
 体温計や血圧計などの測定道具があればそれらを利用しましょう。

まとめ

入浴は時間経過や内容によって利用者にも介助者に大変な労力がいる介助になります。少しでも労力を軽減するために事前の準備をしっかり行い、手順を確実にできるようにすることが大事です。入浴は体が清潔になり、病気の予防になりますが、それだけでなく、利用者の気分転換にもなることです。介助をする側もされる側も、気持ちよく入浴の時間を過ごすことができるよう、準備や手順には気をつけておきましょう。